論文 知的障害者のためのレクリエーションワーク
この知的障害者のためのレクリエーション指導講座の基本となっているのが
私の論文「知的障害者のためのレクリエーションワーク」です。さる福祉団体
のコンクールで銀賞をいただいたものです。文字ばかりで読みづらいのです
が、ぜひ読んでいただきたい一文です。


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発行 東京図書出版会 定価【1300円】
ISBN978−4−86223−274−8
C0036
第●●回社会福祉事業団職員実務研究論文コンクール銀賞受賞
知的障害者のためのレクリエーションワーク
●●県福祉事業団
●●県知的障害者更生入所施設
児童棟指導員 ●●●●
1.はじめに
施設における毎日の生活は、ともすれば単調になりがちです。各種の治療教育や作業訓練などの日課が規則正しく定められ、施設を運営していく上では実に都合の良いものではありますが、しかし毎日の生活が潤いのない、張りのないものとなりやすい傾向があります。それが慢性化してくると、点数や生産高ばかりに気をとられるようになり、かんじんの子どもたちの心が置き去りにされていく危険があります。そうした中で少しでも潤いのある張りのある生活を実現させ、子どもたち一人一人に「生きる喜び=生きがい」を獲得させてあげることが、私たち施設職員の急務となってきました。
このことは障害児者のみならず、一般の健常児者においても同様のことが言えます。私たちの現場も学校教育の現場においても、今までは学習→評価→成績、あるいは生産→生産高→賃金の流れを重視してきた頓向があります。それがあまりにも重要視され続けてきたために、さまざまな弊害が生まれてきました。障害児者はその障害ゆえに切り捨てられ家庭や施設に押し込められ、社会から隔離させられました。同じように、かろうじて学校教育に入れた健常児者たちも、成績重視の流れの中で勉強に追い回されて来ました。外で遊ぶ時間を奪われ、家庭に閉じ込められ、社会ルールを学ぶこともできずに成長しています。そして今日、多くの問題に悩まされています。
レク・ワークとは「障害児者のためのレクリエーションワーク」のことであり、それを障害児者のみならず健常児者の間にも広めようというのが「レク・ワーク運動」です。このレク・ワークという言葉は、日本レクリエーション協会においても近年つかわれるようになりましたが、内容において全く別のものです。私たちは、子どもたちが抱えているさまざまな問題をレクリエーション指導をもって解決の一助にしようと考えました。それも、従来のレクリエーション指導ではなく「障害児者のための新しいレクリエーション指導」を確立させようとしています。今までのレクリエーション指導は、言及すれば一過性の遊ばせ屋であり各種の行事屋にしかすぎず、結局のところ「お慰み」の域を出ないのが実情です。プログラムも思いついたメニューを羅列しているだけで、一貫した指導の目標も計画もありません。
メニュー(レクリエーション財)を注意深く検討すると、そこにはさまざまな機能と効果が見られます。そこで、たくさんのメニューを以上の機能と効果別に横に分類し、かつ子どもたちの発達段階に沿って縦に分類します。このようにすると必要な時に適切なメニューが確実に選択できます。さらにグループワークにおける「集団過程(Group − Process)」の考え方を用いて、子どもたちの障害の克服や改善に役立つプログラミングをすることにより、今までになかった成果をあげることができるようになりました。そしてそれは一回限りのものではなく、専門職員で構成されたスタッフによる「診断→処遇→評価」の繰り返しの中で、集団指導ではあるが、子どもたち一人一人に大きく働きかけることができるようになったのです。
個人目標と集団目標をそれぞれ掲げたうえで、以上の専門指導を続けた結果、さまざまな成果が出てきました。例えば、どうしても集団参加ができず、日常生活も自信がなく小さくなっていた子どもが、いつの間にか集団の先頭を走るようになり、その生活ぶりも自信に満ちた積極的なものになりました。また、指の動きが鈍く、スプーンしか持てなかった子どもが、指先を頻繁に使う歌遊びなどを繰り返すことにより、いつの間にか箸を使って食事ができるようになりました。数字を読めなかった子どもが、楽しい計算ゲームや人数計算の必要なメニューを繰り返すことにより、かずを数えることができるようになりました。こうしたことはつまり、例えば手遊びは手指が注文通りに動かなければ遊べないメニューですが、だからこそ逆に、その手遊びをすることによって注文通りに自由に動く手指を作ろう、という考え方から出発したものです。
このようにして、一人一人の障害がほんの少しでも克服あるいは改善できることによって、本人はもちろん、その集団そのものが明るく活気に満ちてきました。それまで頻繁にあった子ども同士の喧嘩が、すっかり影をひそめてしまいました。そして、その活気がさらに次の障害の克服へと立ち向かわせる原動力となりました。
レク・ワークは他のさまざまな療育手段に比べれば、その効果は薄くて判定しにくく、かつ長期的な指導が必要です。しかし、辛くて苦しい多くの療育手段に比べて、苦痛が少なく楽しみながら指導を受けられ、なおかつ身体や心の障害の克服や改善、あるいは機能の低下防止や障害の進行の阻止などに、このレク・ワークは何かしらのお役に立つことができるでしょう。行動分析を主体とした療法が主流となっている最近では、レク・ワークの存在は軽視されやすい状況ですが、双方を上手に組み合わせてプログラミングすれば、共に成果が上がることが期待できます。
そして、この取組みは単調な施設の生活を活性化させ潤いのある張りのあるものとし、子どもたちに「いきいきとした喜び」を体験させることができ、ひいては「生きる喜び=生きがい」の獲得につながるものと信じるものです。それが、身体的問題、行動的問題の改善のみならず、心理的問題や社会的問題の克服にも有効であるゆえんです。現に多くの施設や病院で、以上のような観点からさまざまな取組みがなされ、私たちへの問い合わせや要望が全国から寄せられています。
そんな折り、県の職員研修場で何回か講演する機会を得、さまざまな施設の職員はもとより、児童館や小学校の先生方と意見の交換ができました。障害児者と健常児者との違いこそあれ共通する問題は多く、その点においてレク・ワークの有効性が期待されました。私たちは請われるままに県内の児童館や小学校、子ども会などを指導して歩き、多くの実践を持つことができました。いずれも予想以上の成果を上げ、子どもたちはもちろん、先生方や父兄の方々に大変喜ばれました。「いじめ」で悩んでいた小学校で、たった1度の指導が項を奏し、今ではすっかり仲良しになったという感激的な場面も経験しました。
また、そのつど積極的に施設の紹介や福祉の啓蒙にも取組みました。なぜならば、一般の人たには障害児者や施設のことなどは殆ど理解されておらず、間違った受け取り方をしているのが往々にしてあったからです。そのために、一人でも多くの方に障害児者を理解していただくよう努めました。さらに、この理解の輪を広げるために私たちは県内のあらゆる児童の関連施設や集い等に声をかけ、専門誌を発行し、連絡があればただちに出かけて行くようにしました。このような活動を通して、当施設と地域のつながりができ、施設や障害児者に対する県民の理解と支持が得られるのが体感させられました。
数年がかりで取り組んできた以上のような活動が、今後どのような方向に進んでいくかは分かりません。しかし、私たちがなさなければならないことは沢山あると思います。療育手段としてのレク・ワークを更に深めて、より役立つものとしなければなりません。また、対外的には更なる啓蒙活動を展開し、施設をもっともっと開放し、要請があれば自信を持って専門としての人材や学材を即時に派遣したり提供したりできるような体制を作らなければならないと思います。
施設は今、その地域の福祉の中枢セソターとしての「施設のオープン化、社会化」を図らなければならないと言われています。行政面のみならず、こうした心と心の、現場と現場のつながりを深めていくことは大変重要なことと思います。
2.レクリエーションとは
一般に「レクリエーション」と「レジャー」は同じように言われています。また、レクリエーションは「暇つぶし」であり「余暇活動」であるとも考えられているようです。しかし、レクリエーショソとはそのようなものではないということを、知っておいてほしいと思うのです。
まず、レクリエーションは「みんなで楽しみ、金のかからない、創造的、集団的、能動的」なものであり、「一人で楽しみ、金のかかる、消費的、個人的、受動的」なレジャーとは違うことを理解すべきでしょう。また、単なる暇つぶしではなく、「レクリエーションは、心と身体を豊かに育み、より楽しい生きる喜びに満ちた人生の創造を可能にする諸活動」であると認識すべきです。「仕事に疲れたから気分転換にレクリエーションを」と言うのではなく、「より楽しい豊かな人生を作るためにレクリエーションを」という積極的な考えが、本来のレクリエーションの持つ意義なのです。
レクリエーションによる人間交流から引き出されてくる楽しさ、喜び、これを「レクリエーショソ指導」の目指すものといっても過言ではないでしょう。レクリエーション指導とは、「人間が基本的に求める楽しい活動を、人と人との交流を通して実現しながら、その過程や結果から生まれてくる諸効果を、生きる意欲作りに結びつけ、いきいきとした日常生活を求める主体的行動、態度の定着を目的とした指導行為である」(日本レクリエーション協会)と定義づけられます。
人間的相互交流を意識した指導過程について述べることは、すなわち、「グループワーク」についての学習を進めることにほかならないと思われます。グループワークとは、「個人の成長と望ましい社会的目標の達成のために、グループ内の相互作用とプログラム活動を活用して、グループワーカーが意図的に援助する方法」と定義されており、私たちレクリエーション指導に携わる立場から述べれば、その指導に際しては多かれ少なかれ、このグループワークという援助過程を活かしていかなければ、「慰安演出」という次元に終始してしまうということを深く認識しておく必要があるわけです。レクリエーション指導もグループワークも「人間的相互交流」をとても大切にしているという点で同次元のものといえるでしょう。
その際、さらに重要となるものに「グループダイナミックス(集団学力)」の考え方があります。そこから導き出した、私たち独自の考え方である「集団過程(Group−Process)」は、さまざまなグループのレクリエーション指導に役立つものです。それは、障害児者も健常児者も区別することなく有効であるところに、この方法の素晴らしさが理解できることと思います。
以上のことから。私たちは「障害児者のためのレクリエーションワーク」を、次のように定義したいと思います。すなわち「心身障害児者のためのレクリエーションワークとは本来、人と人との交流を通して実現していくべきはずのさまざまな機能を、諸々の事由により阻害され、あるいは不充分なままで現在に至っている多くの障害児者のために、今一度その機会を与えるものである。そこで改めて実現し直した上で、機能の回復を図り、その過程や結果から生まれてくる諸効果を生きる喜びの獲得と、生きる意欲づくりに結びつけ、さまざまな苦痛にも積極的に立ち向かえる強い心を養うひとつの方法である。そしてそれは、集団療法の側面と個別療法の側面とを合わせ持った総合的な働きかけであり、苦痛を伴わずに楽しみながら実現していける方法である」と。
3.レクリエーションの機能と効果
レクリエーションには、さまざまな機能と効果があります。社会的機能と効果、心理的機能と効果、生理的身体的機能と効果、感覚的機能と効果、余暇能力開発の機能と効果、生きる意欲作りの機能と効果などなど。それは、まさに幼児期から児童期における「仲間との遊び」(人と人との交流)の中で、自然に培われていくものばかりです。レクリエーションが単なる「暇つぶし」ではなく、いかに大事なものであるかが良く理解できると思います。
(1)社会的機能と効果
社会的機能と効果を考えるにあたって最も重視すべきは社会的性格(パーソナリティ)の育成でしょう。とかく社会から切り離されて、限られた人々(家族など)の中でひっそりと暮らしてきたことの多い彼ら障害児者には、そのパーソナリティを実現していく機会が極めて少なかったことは事実です。パーソナリティとは簡単に言うなら、集団生活を営むのに必要な性格、つまり対人関係における性格のことです。この性格形成は個人的な方法では不可能であり、やはり集団的方法が必要です。しかも尚それを、楽しみを通じて行うことこそ、レクリエーションワークの効果ということができます。楽しいプログラム展開の過程において協力の喜びを知り、逆に人との葛藤が生じる中に共同の難しさを感じ、自己主張の重要性と同時に集団性の困難を知り、ひいては自己のパーソナリティ形成に役立つというわけです。
(2)生理的身体的機能と効果
とかく動きの少ない(一部の多動児者や元気一杯の人々は除いて)、あるいは手先などの不器用な障害児者たちは、ただそれだけで意欲をなくして消極的になっていくこともあるでしょう。動かないから、動けないから身体の機能が弱くなってくる。弱くなったから動かない、動けない。また、身体を使わないから出来ることも出来なくなってしまう。出来なくなったから、もうしようともしない。と言った無気力に陥ることもあるでしょう。
それに追い討ちをかけるようにして「老化」の問題もあります。今は障害児でも、いずれ障害者となり、老化が始まるのです。ただでさえ、身体的障害を持った人たちにとっては、それからのハードなリハビリテーションは苦痛以外の何物でもありません。
障害児者にとっては、身体を使いすぎることより、使わなさすぎることへの警戒が必要です。障害の進行や老化を阻止できるものではありませんが、それを少しでも遅らせようとすることが大切です。また多くのレクリエーションプログラムは、大小の身体運動を伴っており、そのことによって呼吸循環器や感覚神経、運動神経、大脳などの諸器官が活発に働き、局所的疲労の回復や良いコンディションづくりにも役立ちます。
(3)心理的機能と効果
楽しいプログラムによって、日常的な心理的緊張から開放されます。また、それを適切な頻度で繰り返すことによって情緒的安定、明るい暮らしぶりの実現を期待できることになります。
(4)感覚的機能と効果
人生をより豊かにする音楽感覚や、生活の流れを安定させるリズム感覚などを養い、大きな意味では生体リズム(バイオリズム)の矯正にも期待できるでしょう。
(5)余暇能力開発の機能と効果
多様なレクリエーション活動の楽しみ方を、初歩的レベルでよいから身につけることによって、余暇を積極的に楽しむ態度や技術といった、いわゆる余暇能力を維持開発することができます。また、それらの活動の中から好きなものをより伸ばすことによって、「生きがい」作りにもなりうるのです。
(6)生きる意欲作りの機能と効果
レク・ワークを通してさまざまな機能を回復し、日々の苦痛を和らげ、積極的な喜びを得ることは彼らの心に大きな満足感、充実感を与える事ができるでしょう。それが生きる意欲となり、訓練や労働といったさまざまな苦痛にも、喜びをもって積極的に立ち向かっていけるようになるのです。
4.レクリエーション化(ゲーム化)の効果
日々の単調な訓練や作業を、以上のような機能と効果をもったレクリエーションの手法を用いて、楽しいゲーム的なものにすることができます。その事によって訓練や作業に張りができ、意欲と楽しみをもって自ら積極的に取り組めるようになります。これを、私たちはレクリエーション化(ゲーム化)と呼んでいます。
以下の二つの実例は、18歳未満の軽度障害児8人を対象におこなった実証実験の結果です。前にも述べたように、レク・ワークの効果の判定はしにくく、数字で表す事は困難なことです。それを敢えて行い、レク・ワークにおけるレクリエーション化(ゲーム化)の有効性を確かめたものです。
2つとも、同じ課題を与えられたレク化グループ4人と非レク化グループ4人との、成績の伸びを示したものです。正確を期すため、一番目の課題と二番目の課題では、グループのメンバーを交代させています。それぞれ10回(10日間)行い、第1回目の成績を100とした時の成績の伸びを表しています。
レク化グループには、課題開始前に十分にオリエンテーションを行い、いろいろなゲームをして楽しみ、緊張をほぐしておきます。そして、そのゲームの延長として極く自然に課題に入っていきます。終始BGMを流し、指導者の指示と仲間の声援の中で、あたかもゲームをしているかのような雰囲気を維持します。課題終了時には、指導者や仲間からの賞賛を浴び、褒賞を手にします。喜びの中で次回の予告をし、終了します。
一方の非レク化グループは、日常の訓練や作業の時と同じように、開始時刻の厳守と静粛を要求します。課題終了時も、事務的に次回の予告を伝えるだけで、賞賛や褒賞は与えません。
(1)握力訓練(課題=60秒の間に、20kgの片手グリップを何回握れるか)
対象児8名のうち、Eは測定値不足のため記載してありませんが、グラフの上位からABCDの4人がレク化グループであり、下位のFHGの3人とは明らかな差がついています。それぞれの平均値で見ると、最終Stepにおいてレク化グループは196.0、非レク化グループは87.6であり、108.4の開きが見られます。そのうえ、レク化グループは順調な成績の伸びを示しているのに対して、非レク化グループは課題を開始した時よりも、その成績が落ち込んでいることが分かります。
(2)丸描き訓練(課題=30秒の間に、何個の丸を描くことができるか)
先の実例と同じように、グラフ上位のCDBA4人(レク化グループ)の最終平均値は160.3であり、下位のFHGE4人(非レク化グループ)の最終平均値82.5をはるかに上回っていることが分かります。ここでもやはり、非レク化グループの成績の落ち込みが目立ちます。以上の実証実験は、児童棟●●で実際に行われたものです。
5.リハビリテーションとしてのレク・ワーク
先にも述べたように、レクリエーションには色々な機能と効果があります。それをそう一度整理しますと、次のようになります。すなわちグループワーク的役割としての社会的機能と心理的機能、リハビリテーション的役割としての生理的機能と感覚的機能、レクリエーション的役割としての余暇活動の開発と生きる意欲づくりです。
そのほかにも、知識教育的機能や情操教育的機能なども合わせ待っていますが、今度はその中のリハビリテーションの面について考えていきたいと思います。その機能と効果については、再三述べてありますので省略します。ここでは、リハビリテーショソとしてのメニュー(レクリエーション財)の生かし方を述べてみましょう。
多くのメニューを注意深く検討していくと、色々なリハビリテーショソに役立ちそうなものが沢山あることが分かります。そしてそれを、次のような項目で分類してみます。この分類項目は、日本レクリエーション協会の千葉和夫先生によるそのです。すなわち日常生活動作訓練、知的刺激・人間関係訓練、関節可動域訓練、筋力増強訓練、巧緻性訓練、平衡性移動動作訓練の6項目に分けられます。この項目郡を横に並べ、縦には障害児者の発達段階(あるいは子どもの成長段階)に沿って並べてみますと、そこには一枚の分類表(マトリックス)が出来上がります。これによって、必要な時に適切なメニューが確実に選択できるようになり、リーダーやワーカーの指導がより効果的に行われることが期待できます。
つまり今から指導しようとする集団なり個人なりに対して、まず指導目標を立てます。次に、その指導目標に合った分類項目の欄を注意します。たとえば、手指の動きに機能的な問題のある子どもに対しては、関節可動域訓練の欄を注意するわけです。そして、その問題の程度や子ども自信の発達段階を見極めてラソクを予想します。すると、関節可動域訓練の欄とランクの欄とが交わった窓にいくつかのメニュー郡が見つかります。そのメニューを中心に、プログラムを考えていけば良いわけです。さらに、後で述べる「集団過程(Group−Process)」の流れに沿ったプログラミングをすることによって、最も少ない労力と時間で、最も効果的な指導を実現することができるのです。
6.グループワークとしてのレク・ワーク
グループワークとは「意図的なグループ経験を通じ、その個人の社会的機能力を高め、また個人・集団・社会の諸問題に効果的対処ができるよう人々を援助する社会事業のひとつの方法である」(ジゼラ・コノブカ女史)。つまり、レクリエーションの活動の場面が集団活動(人と人とが援し交わり、相互に作用しあう)の場であることを考えれば、グループワークの原理に通じる貴重なチャンスです。個人がグループにおける経験を通して成長発達していく機会を持ちうるように援助するのがグループワークであり、その方法や考え方をレク・ワークに導入あるいは移植することによって、より力強いものになるに違いありません。
ただし、レク・ワークの主たる目的は障害児者の障害の改善であり、それに対してグループワークは個人のPersonalityの発達が目的です。同じゲームをするにしても、レク・ワークはメニューそのものが持っている諸機能を活用するものですが、グループワークにおいてはメニューは単なる手段にすぎず、その場における人間の交流に重点が置かれています。
そこにおけるグループワーク的援助過程とは
STEP.1-(診断)グループ構成員一人一人のニーズや問題を知って、プログラムヘ結びつけること。
STEP.2-(処遇)実践によってグループ所属感を高め自発的思考意識態度を育て障害の改善を図ること。
STEP.3-(評価)結果をかみしめ、観察や記録によって正しい評価を行い個別処遇ないし次回のプログラムヘ反 映させていくこと。と言うことになります。
7.集団過程とプログラミング
集団過程とは「集団の活動に生じうるあらゆる成長と変化、および集団内の相互関係の総体である」(M.マーフィ)。つまり、その集団の誕生から解消までの一連の過程を指し、その原則面をあきらかにしたそのです。千葉和夫先生(日レク協会指導部プロデューサー)によれば、それは
STEP.1-不安や警戒心を持ち合って、互いに相手の出方をうかがう「さぐり」の時期。
STEP.2-相互の緊張がとけて、所属感が高まり、同一化される時期。
STEP.3-集団としてのまとまりが高まり、集団の目標が設定される時期。
STEP.4-自分の所属する集団に「われわれ意識」が発生するとともに、他の集団に対する「彼ら意識」ができる。 いわゆる内集団、外集団態度形成の時期。
STEP.5-集団が持続されるにつれて生じてくる集団雰囲気形成の時期。
STEP.6-相互交流が進につれて、メンバー間に地位と役割の分化が行われる時期。
となります。私たちは、それを更にソシオメトリックに考え、より分かりやすい実践向けの分析を行いました。
つまり
@誕生期(完全受動体)-メンバー相互は無関心、自己顕示や緊張といった反応をしめし、そのつながりは個々のメンバーとリーダーとの間のみに存在します。リーダーやワーカーの援助は最大、絶対です。たとえば、新入生を迎えた高等学校の4月の教室の雰囲気です。生徒はお互いの名前や出身校もわからず言葉を交わす事もなく席に着いています。まるで、お互いに無関心であるかのようにふるまっています。その反面、横目で皆の顔をのぞき見、渡された名簿を元にお互いの出身校や名前、さらには性格までも見極めようと、ささやかな努力をしているのです。そこには唯一、担任教師とのコミュニケーショソがあるだけで、生徒はみな前を向いています。このような時に、チームワークを必要とするようなメニューを与えても、何一つ良い結果は生まれません。
A発達期(下位集団形成)-緊張が次第にほぐれ、同性、同年、同出身といった共通の要素でメンバー間につながりができ、下位集団を形成していきます。リーダーやワーカーの援助も次第に減らしていきます。先の高等学校の例で言えば一ヵ月位経った頃でしょうか。まず隣や前後の同性の生徒と仲良くなり、次に名前や出身校や性格が分かってくると自分と気の合う仲間を見つけて、常に一緒に行動するようになります。このような小さな下位集団がいくつもでき、クラスそのものが一種の共和国のような形になります。この時期には、それぞれの下位集団をひとつのチームとみたてたメニューが最適で、チームどうしの相互関係の中で、より理解しあうようになってきます。しかし、今だ下位集団に参加しない、あるいは参加できない生徒もおり、リーダーやワーカーとしての担任教師の援助が再び必要となることもあるでしょう。
B成熟期(地位と役割の分化)-すべてのメンバー間につながりが生まれ、自主的なリーダーやワーカーが現れてきます。集団としての成熟期です。リーダーやワーカーの援助は最小限にとどめます。また、先の高校の例で言えば秋頃になるでしょうか。学園祭に向かって生徒全員が力を合わせて頑張っている姿はまさに良い例です。生徒同士が認めたリーダーやワーカーが出現し、彼らを中心として物事がスムーズに進められていきます。担任教師のリーダー的役割は最小限となり、その役割の生徒への移行が行われます。この時期には、全員がチームワークを発揮して一斉にできるメニューが最適で、ここまでの集団過程を正しく進んでいれば、一人の落後者もなく、力強い集団になっていることでしょう。しかし、実際にはさまざまな問題が発生し、なかなか容易に実現できないのが現状のようです。リーダーやワーカーの質が問われる時でもあります。
C終結期(発展的解消)-集団として衰退していくか、それとも新たな集団過程を目指して、発展的解消を図るかの選択をします。リーダーやワーカーの援助は再び高まります。例で言えば、進学によるクラス編成がえや、卒業時の発展的解消と言えるでしょ。これにより、さらに多くの違う人達との交流が図られ、社会的成長の実現を促すことになるのです。このような発展的解消の機会をもたない集団が、長く活動を続けていると、いわゆるマンネリ化現象などがおき、すべてに消極的になってきます。そのままですと、なしくずし的にその活動がたち消えてしまい、再出発が難しくなります。それを防止するためにも、何らかの強いインパクトを与えて、再編成再出発させる積極的な姿勢が必要です。
集団が形成され強化され、集団内におけるメンバーとメンバーの人間関係、相互作用が展開されていく過程を集団過程(Group−Process)と言いますが、この集団過程がより積極的により望ましい方向に展開されていくように、専門的な知識と技術をもって援助していくことがリーダーやワーカーの使命です。従って、リーダーやワーカーはグループの集団過程の展開、グループの発達段階を正しく観察・理解し、その過程にもっとも適した援助機能を果たす必要があります。
集団は生きています。集団は生命のある生きものであるといえます。それは絶えず変化し動いています。従ってリーダーやワーカーは絶えず動きつつある集団をとらえなければなりません。変化し動いている集団過程を的確にとらえなければなりません。この集団過程を動かせ変化させていく要素としては、グループの目標、そのプログラム活動、メンバーのパーソナリティがあげられるでしょう。
集団が生きものであることは、私たち人間と同じように、集団にも誕生から始まって、やがてその生命を閉じる時期もやって来ます。グループの発達段階を大きく分けると前述のように、そのグループが誕生する時期、上昇発達する時期、成熟する時期、やがて衰退化し消滅していく時期を考えることができます。
リーダーやワーカーとメンバー、メンバーとメンバーとの相互作用の展開を見ると、@の誕生期では、メンバーとメンバーのやりとりや結びつきはほとんどなく、主としてリーダーやワーカーとメンバーとのやりとり、結びつきによりプログラムが展開されていきます。この段階では、リーダーやワーカーの働きかけは直接的で強力であり、メニューはリーダーやワーカー中心にして展開されていきます。しかし、メンバーとメンバーは直接的なやり取りはなくても、みんなで同じメニューを楽しむことを通して、メンバーに共通の基盤がつくられ、われわれ意識・仲間意識が芽生えてくるでしょう。リーダーやワーカーがみんなに向かってするメニューは、やり方やルールが比較的簡単であり、誰でも気軽に活動に参加することが可能です。まず、リーダーやワーカーとメンバーとが結びつき反応し合うことによって、メンバーが同じような共通な類似の反応をし合うことによって集団としてまとまっていこうとするそのです。
Aの発達期のチーム(組)に分かれて楽しむメニューでは、身近な少人数の間でメンバーとメンバーが声をかけあったり、手を取りあったり、助け合い協力しあったり、共通の目的達成のために力を合わせたりなどして交わりあい、相互に作用しあっています。この少人数のグループ内での相互作用を通してメンバーの参加意識や集団意識が育ち、向上していきます。この段階では、リーダーやワーカーはメンバーとメンバーの相互作用がより円滑に、より活発に展開されていくように働きかけていくことが重要な役割になります。@の誕生期に比べると、リーダーやワーカーのメンバーに対する直接的な働きかけは少なくなり、メンバーとメンバーの結びつき、相互作用が少しずつ多くなっていきます。リーダーやワーカーが直接に個々のメンバーと結びつくというよりは、各下位集団(チームまたはグループ)に働きかけるのであって、個々のメンバーとの直接的な結びつきは少なくなっていきます。リーダーやワーカーは各グループ内でのメンバーとメンバーの相互作用が育っていくように、グループに対して働きかけていくものです。そのことをとうして、各グループでメニューに参加協力するようになります。
Bの成熟期でのみんなが輪になってするメニューでは、ますますリーダーやワーカーの直接的な働きかけは少なくなり、リーダーやワーカーの役割はメニューの導入と次へのメニューの移行だけであり、レク活動中は1メンバーとなって行動したりしています。そして、メンバーとメンバーは相互にやり取りをしあい働きかけ合っています。1メンバーがメンバー全体に与える影響は全体に直接的に及ぶことになります。そしてリーダーやワーカーの働きかけが表面に直接的にあらわれることが非常に少なくなり、メンバーに与える影響そ少なくなっています。メンバーはリーダーやワーカーから受ける影響、作用よりは他のメンバーと作用しあうことから大きく影響されるようになります。メンバーの中からより積極的にリーダー的存在としての役割を果たす者がはっきりとあらわれてきます。メニューは、メンバーが中心になって展開されていると言えます。
Cの終結期。グループが生命のある生き物である以上、やがて衰退し弱体化していく段階が来ます。グループ活動に新鮮さがなくなり、プログラムはマンネリ化します。参加メソパーも減少しグループに何となく活気がなく、衰退していきます。欠席者が目立ち始め、メンバー自らが役割を分担し責任を果たそうとしなくなります。やがて、グループはその使命を果たし生命を閉じます。リーダーやワーカーは、プログラムのマソネリ化の対策を講じたり、新しい興味・関心を引きだしたりするように努めます。グループの状態を分析し、その衰退原因を検討して対策を立て、働きかけます。しかし、グループの状態を正しくとらえる中で、そしその使命を果たしたと判断した場合には、メンバーの話し合いをもとにグループの解消を決断すべきでしょう。それは時には、次への方向づけを含めた発展的解消と言う場合も考えられます。
以上の集団過程を実際のレクリエーション指導のプログラミングに応用すると、以下のように考えられます。
@導入(誕生期)-リーダーがみんなに向かってするメニューで、誰もがすぐにできるものを用意します。
A展開(発達期)-下位集団(チーム)に分かれて、組毎や組対抗などでできるメニューを用意します。
B変化(成熟期)-メンバー全員が相互に作用しあうメニューを用意します。一番の盛り上がりを図ります。
C終結(終結期)-次回のプログラムヘの期待を抱かせるようなメニューやセレモニーで発展的解消を図ります。
特に、@〜Bにおいては、2人から4人、4人から8人、8人から16人といった倍々ゲーム的な小集団形成法が大変有効です。
つまり、グループワークの集団過程に基づいたレク指導のプログラムの流れとは、「その時間内に圧縮された集団過程としてとらえ、その一連の集団過程にのっとったプログラムを編み出すことによって、最大限の効果を引き出すことができる」ことです。1年がかりの集団形成も、1時間の集団形成も、ともに、「集団過程」としてとらえることができるのです。このことにより、いついかなる時でも、どのような条件であろうとも最適最良のプログラムが立てられ、一人の落伍者も出すことなく実施できるようになりました。
さらに、前述のリハビリテーショソとしてのメニュー分類と同じように、この集団過程にのっとったメニューの分類をして、もうひとつの分類表を作成します。プログラミングにあたっては、この分類表(マトリックス)から必要なメニューを順に選択して組み立てていけばよいわけです。私たちの考えるレク・ワークの真髄が、この二枚の分類表に凝縮されていると言えます。
8.プログラムチームと運営
厳密にグループワークの考え方からすれば、リーダーはワーカーの働きかけにより、そのグループの中で自然発生的に生まれて選任されていくものです。ワーカーは、「全員の中から会員によって選ばれた会員指導者(リーダー)」とはっきり区別されるものです。
しかし、対象児者が障害児者であるレクリエーションワークでは、集団過程の初期においては、リーダーもワーカーも私たちがその役割を果たした方がよりベターでしょう。いいかえるならば、総合的な演出家としてのワーカー(援助者)と、進行係(あるいはメンバーの代弁者)としてのリーダー(指導者)、そしてそのグループのプログラムを円滑に進めていくためのヘルパー(補助者)、観察と記録を受け持つレコーダー(記録者)の4者によるプログラムチームが必要です。
従来のレクリエーション指導では、対象児者の他には一人のリーダーがいるだけです。健常児者のためのレクリエーション指導でしたらそれでも良いのですが、障害児者のためのレクリエーショソ指導ではそれだけでは不十分ですし、より高度なグループワークを導入するならば、なおのこと一人のリーダーだけでは困難を極めます。そこで私たちは、集団過程の初期においては、一つのプログラムには必ず一人のワーカー、一人のリーダー、一人のレコーダー、そして一人以上のヘルパーを確保しています。その最低四人により一つのプログラムチームを構成して、一つのグループに働きかけていくのです。
その様子を、もっと分かりやすく述べてみましょう。今ここに、ジングルサークルになって活動している一つのグループがあります。そのサークルの外には一人のワーカーがいます。ワーカーは、そのプログラムの作成から準備、連絡、演出、指導等すべてについて援助します。グループのメンバーだけでなく、リーダーやヘルパーにも強く働きかけて、そのプログラムのより良い遂行や、メンバーを含めた人間関係の調整に努力します。時には使い走りであり、時にはスーパーバイザーとしての働きかけもします。すべては、このワーカーの援助と働きかけ次第と言っても過言ではないでしょう。
そして、サークルの中心にリーダーがいます。リーダーはワーカーの指示をあおぎながら、かつ自分の個性を充分に発揮して、グループのメンバーを指導します。実際にメンバーと相対峙するのが、このリーダーです。ワーカーはサークルの外にいて、冷静にメンバーやリーダーの行動を観察し、分析します。そしてそれをリーダーに直接伝えたり、あるいは間接的にメンバーに働きかけたりして、さまざまな援助を続けていくのです。
また、サークルになっているメンバーの中に混じってヘルパーがいます。そして、リーダーの指導通りにメンバーとともに同じ行動をとっています。時にはリーダーの助手になり時には他のメンバーの手本となったり介助したりしてプログラムの遂行を助けます。
そのほかに、サークルの外にレコーダーがいますが、彼はプログラムのすべてを客観的に詳細に観察し、記録評価表に即座に記入していきます。プログラム終了後のミィーティングの時に、スタッフ全員で更に検討を加えた後、その評価と課題を記して任を終わります。かなり重要な役割と言えましょう。このワーカー、リーダー、ヘルパー、レコーダーの四者がチームワークを十分に発揮して、一つのグループに一つのプログラムを働きかけて、そのメンバーの分析と援助を繰り返していくわけです。
こうしたプログラムを何回か展開していくうちに(前述したように)、そのグループの中に自然発生的にリーダーの役割を新たに任うメンバーや、ヘルパーの役割を任う者などが出てくるでしょう。それは必ずしも彼ら障害児者だけとは限りません。彼らと一緒にいる他の健常者(たとえば、スタッフ以外の施設職員)であるかも知れません。それはそれで十分に意味のあることですから、言下に否定し排除する必要はありません。
とにかく、そのグループの中で自然発生的に(もちろん、ワーカーの働きかけにより)選ばれた新しいリーダーやヘルパーはそれを認めて、私たちのプログラムチームからその役割をスムーズに移行させていくことも考えるべきです。そのようにして、リーダーやヘルパーの地位や役割を彼らに譲ることにより、次のようなことが期待できるでしょう。つまり、自己を表現する方法を見つける、自己がもとめられている人間であることを感じとる、自己が欠くことのできない仲間であることを感じとる、仲間付き合いを見つける、どんなことにも参加していけるようになる、と言ったことなどです。
また、プログラムはグループワークの原理に基づいて、その活動がより活発により豊かに展開されていくための媒体(Media)であると言えます。レク・ワークのプログラムには、診断・処遇・評価を含むすべての過程を示すワーク・プログラムと、個々の処遇の計画を示すレク・プログラムの2種類があります。
診断とは、対象のメンバーを一度召集し、メンバー一人一人の問題点を探ることです。それには、そのメンバーの担当者の意見報告や参加理由を十分に考慮しなければなりません。また、集まったグループ全体の問題なども検討しあい、明瞭的確な診断と処遇方針を決定しなければなりません。
そして、その評価の方法として次の方法が考えられます。
@グループワーク的診断と評価(例:ソシオメトリー、PM評価)
Aリハビリテーショソ的診断と評価(例:機能評価表)
Bレクリエーション的診断と評価(例:行動評価表)
C教育的診断と評価(例:学習評価表)
その評価ランクづけとしては、G.S.オモロウの評価ランクがあります。
A……彼は(彼らは)、ワーカーの期待通り反応し、問題は解決された。
B……問題は解決されていない。当面の目標が達成されていない。
C……行動の様子が、以前と変化していない。再検討が必要である。
D……行動の様子に新しい問題が生じている。あるいは、以前よりも悪化している。再検討が必要である。
と、なります。以上を駆使して指導にあたるわけです。
9.ソシオメトリー
ソシオメトリーとは、教育心理学小辞典によれば、「集団内の個々人の自発的選択、反発、無関心といった社会的関係を測定・分析する理論と方法を言う。ソシオメトリック・テストを行って測定し、各種集団の理論的研究に用いられるほか、実践的にも小集団編成や集団活動の改善、集団への適応異常などの発見や、治療集団の編成にも非常に効果がある」ものです。これを明治学院大学の神保信一先生がより分かりやすく数量化することに成功し、その実証実験には私も何回か参加させていただきました。この方法は、レク・ワークのグループワークとしての診断と評価のために大変役立つものと信じています。
すなわち、そのメンバーのグループの中における個人の地位と役割がはっきりと分かるほか、目に見えにくい集団内小集団(下位集団)も確認でき、集団過程によるプログラムの立案と判定に威力を発揮するものです。ここでは紙面の関係上、詳細は次の機会に譲りますので簡単に述べておきます。ソシオメトリック・テストによって測定された集団内の人間関係は、ソシオグラムによって図式化されます。また、こうした人間関係を行列(マトリックス)の形に整理し、数量的に処理できるようにした表示法を、ソシオマトリックスと言います。
この他にも、三隅二不二先生による、P−M評価法などもあります。こういった科学的な診断や評価方法は、効果の判定が困難なレク・ワークにとって、心強いアイテムとなります。そしてそのことにより、説得性のある、信憑性の高い指導が可能となっていくのです
10 . 今後の課題と問題点
以上、障害児者のためのレクリエーションワークについて述べてきたわけですが、紙面の関係上私たちにとっては言いたりず、読者にとっては歯切れが悪くて分かりにくかったかと思います。今回はレク・ワークのグループワーク的な面について特に強調して御紹介したため、リハピリテーションや問題行動の改善などの記述に不満が残ります。また、そっと身近な具体的な例をたくさん御紹介しながら説明したかったのですが、それもかないませんでした。深くお詫びいたします。
しかしながら、私たちが行ってきたレク・ワークのおおよその概念は御理解いただけたかと思います。そして、これが軽度から中度の障害を待った人達や健常児者にとって何がしかのお役に立つものである、と言えたかと思います。その反面、重度や最重度の障害を待っている人達へのフォローについては、今ひとつといったところです。私たち自身もそのことは深く感じており、今まで以上にこれからの課題として取り組まなければならないと認識しているところです。
もともと、このレク・ワークは先の千葉和夫先生が老人収容施設や各種の医療機関で実践されてきた「老人のためのレク・ワーク」をベースにして、私たちが障害児者のレク指導のために移植したものです。ですから一部においては、根本的な見直しや新たな発想が必要であり、その点においてまだまだ未完成なそのです。ですが、私たちのレク・ワークに対する期待と要望は日増しに強くなってきています。過日、全国精神薄弱施設職員研究大会の席上で御紹介して以来、またその後各新聞紙上にも紹介されて以来、いまだに多くの問い合わせや激励の声が全国の施設や病院から寄せられています。
いずれにせよ、もっと多くの実践を重ねて実証と研究をしていかなければなりません。今まで、私たちのスタッフは施設外のさまざまなところで主に健常児者の指導に当たってきました。そこで多くのデーターを得ることができましたし、多くのことも学びました。そしてこれからは、以前のように再び、施設内での障害児者の指導に力を入れたいと思います。
最後に、この30年間「障害児者のためのレクリエーションワーク」の実践を続けてきたグループ『もぐらのこどもたち』を御紹介して結びたいと思います。多くの方の、多くの御意見と御指導をお願いいたします。
敬具
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