第3章 実践に役立つテクニックです
第2章では子どもたちを中心に述べました。第3章ではレクリーダーやスタッフ
である皆さんを中心に、実践に役立つテクニックを紹介します。「そんなの知っ
てるよ」と言うベテランも「へ〜、そうなん だ」
と言う新人さんも是非読んでみてください。
第1節 一般的なテクニック
第2節 1歩踏み込んだテクニック(1)
第3節 1歩踏み込んだテクニック(2)
第4節 もっとすごいテクニック
第5節 学問的なテクニック
▼以降随時追加更新します


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C0036
第1節 一般的なテクニック |
一般的なテクニック、つまり良く言われるテクニックです。それは、@笑顔を絶やさない A元気良く B大きな声で Cゆっくり話す D無理強いしない、の5つですね。どれもこれも当たり前の話ばかりなので、わざわざ解説するまでもないでしょう。
私はいつも、この5つのテクニックにさらに5つ加えて提案しています。それは、@やらなくても気にしない Aできなくても気にしない B失敗しても気にしない C居てくれるだけで良しとする Dお互いできることをして楽しもう、というものです。私はこれをケセラセラ5ヶ条と呼んでいます。
皆さんは「なんだ?これがテクニック?」って思うかもしれませんが、知的障害者のためのレクリエーション指導を30年間実践してきた私の結論です。つまり、肩の力を抜いて子どもたちと一緒に楽しめたら良いじやないか、という気持ちが大切だと言っているのです。
何が何でも子どもたちを楽しませなくちゃと思うと肩に力が入りすぎ、自分の思い通りにならないと頭を抱えてしまい、挙句に悪いのは自分ではなく子どもたちだと言い出して、怖〜い顔で命令しだしたら子どもたちは逃げてしまいます。
基本は優しさです。そして許せるかどうかです。できない子どもたちを許せるかどうか。そして重要なのは、できない自分を許せるかどうか。子どもを責めるレクリーダーは失格です。二度とレクリエーション指導はしないでいただきたい。毅然と言い渡しましょう。「あなたはクビ!」と。しかし自分を責めるレクリーダーは、もう一度このサイトを初めから読み直してみてください。そして、自分は子どもたちを愛している実感があるのなら、ゆっくりと慌てずにやりなおせば良いのです。あなたなら大丈夫です。
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第2節 1歩踏み込んだテクニック(1) |
さて実践的なテクニックをいくつかご紹介しましょう。まずは、@プログラムの始めが勝負、と言うことです。知的障害の子どもたちは事前に理解することが苦手です。視覚的な手がかりがないと明日のことは目に見えません。ですから視覚的な方法で知らせることの大切さは既に書きました。それでも理解できないままに当日を迎えてしまったら仕方ありません。少し強引でも誘ってみましょう。ただし、その時のスタッフの態度や言葉には充分に注意して、子どもに不安を抱かせないようにしてください。とにかく急いで「これは楽しいかも」と子どもに思ってもらうように努力するのです。
このようにして、とにかくプログラムが始まりました。そしたら次のテクニックはAラジオではなくテレビである、と言うことです。メニューの説明は言葉不足と思われる位に少なくしましょう。その分を、スタッフにやらせて見せて理解してもらうのです。何度も言いますが、知的障害の子どもたちには言葉よりも視覚的なアピールが重要です。ビジュアルに!一見は百聞にしかずです。
プログラムが無事に進行してきたら、次にB間を魔にするな、と言うことを心掛けてください。わずか5秒の間が魔になります。シーンとした静けさは場をしらけさせてしまいます。意図的に静けさを演出する場合は別として、静けさは厳禁です。せめてBGMぐらいは流しておきましょう。そして一つのメニューが終わったら、「皆に感謝しましょう」と言って全員に拍手してもらいます。これにはメリハリをつける効果があります。そして皆も次のメニューは何だろうと期待します。その間、3秒は間が持ちます。その間に次の事を考えるズルがしこさもテクニックですよ!
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第3節 1歩踏み込んだテクニック(2) |
さて次がCルールにこだわらないことです。子どもたちが少しでも体を動かすようなメニューを考えるのは当然ですが、しかしルールが理解できないとかえって固まってしまいます。時には、ルールなんてその場で変えたり無視してもいいのです。その時の子どもの様子を見て臨機応変にルールを変えることは大切なテクニックです。何が何でも用意したルールをしなければならないと思い込む必要はありません。その反面、ルールはちょっと一味加えたりアレンジすると思いもかけなかった美味になることがありますよ。
さてD動かないなら動かしてしまおう、と言うことがあります。ルールがわからなくて動けないのではなく、照れ臭くて動けないという子どももいます。どうしたら体を動かしてくれるか悩むところですね。私はそんな時、つい動いてしまうという反射を利用しています。例えば、指示しても動かないけれど、ボールを投げるとたいていの子どもは反射的に取ろうとします。だから、意図的に意地悪なボールを投げてみるのです。できる子どもには難しいボールを、できない子どもには優しいボールを投げてあげると飽きません。
また、Eそのまんまの指示語で動かなければ言葉を変えてみるのもテクニックです。「両手を挙げて」と言うとしないけど、「万歳!」と言うと思わず両手を挙げてしまいます。そして、FBGMです。脳は無意識的にBGMに支配されると言います。静から動、そして動から静へ移る時、BGMは大きな効果を上げます。軍艦マーチ・読経・蛍の光・仰げば尊し・クリマスソング、などなど。それぞれのBGMには独特の雰囲気が伝わりますよね。軍艦マーチだとウキウキしてきます。読経だと尊厳な気持ちになります。蛍の光なら涙が出てきそうになります。気持ちが体を揺さぶるのです。
ところで、G歌遊びの歌は1回で終わらせてはいけません。最初は様子見の子どももいるのでもう一度繰り返します。すると2回目には歌うことが多いです。また、H動かない子どもが多いと他の皆も動かなくなります。だったら動く人を増やせば良いのです。参加者だけではなくスタッフはもちろん、お世話をする周りの大人たちを総動員して、皆で動きましょう。誰1人としてボーッと立っていないようにします。どんな偉い人でも見学などさせずに、立たせて遊ばせてしまいましょうね。
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第4節 もっとすごいテクニック |
さらに面白いテクニックを紹介します。まずは@「3対4対3の法則」です。やる気のある子ども3人、どちらでもない子ども4人、やる気のない子ども3人に分けてしまいます。実際に分けてグループにするのではありません。あなたの頭の中で分けるのです。そしてとりあえず、どちらでもない子ども4人を楽しませることができれば、7人対3人で満足度70%、成功です!やる気のない残りの3人も次第に引きずられてやるようになります。それをいつまでも、やる気のない子ども3人にこだわっていると、3人対7人で満足度30%で失敗に終わります。数の論理ですね。永田町の国会議員と同じです(笑)
そしてA「1対1対1の法則」です。子どものレベルの違いはごまかそうと言うことです。レベルにばらつきがあるときは、全員が同じことができなくても良いのです。ただし全員が「必ず一度はできる」ようにするのです。体操とゲームと歌遊びがあったとします。A君は体操とゲームができました。B君はゲームができました。そしてC君はゲームと歌遊びができました。すると少なくてもゲームは全員が遊べたことになります。全部のメニューを全員ができるなんて欲張らないことです。ひとつでも皆でできれば喜びましょう。
最後にB終わり良ければ全て良し、と心掛けましょう。レクリエーション指導、それまで下手でも最後が楽しく盛り上がれば、皆さん満足して帰れます。下手なレクリーダーほど得意なメニューを先にやってしまい、その後は尻すぼみになることが多いです。下手なレクリーダーほど、とっておきのメニューは最後までやらないことです。いくら上手でも最後に失敗すると「来るんじゃなかった」と言う冷たい視線を味わうことになりますよ!
いかがですか?たくさんのテクニックを紹介してきましたが、お分かりいただけましたでしょうか? もう一度最初から読み直すと、「ああ、なるほどな」と理解できますよ。
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第5節 学問的なテクニック |
さて私は知的障害者施設で30年間レクリーダーをしてきました。また日本レクリエーション協会のレクリエーションインストラクターや、ホームヘルパーのための体験的レクリエーション講座も努めてきました。
レクリエーション指導と軽く言われがちですが、実は大変奥の深い学問でもあります。そもそもがレクリエーション指導はグループワークです。グループダイナミックス(集団力学)を利用して一人一人に働きかける大切な援助方法と言えます。
第2章で集団過程(グループプロセス)を紹介したように、さまざまな理論や提案がなされています。その1つにアセスメントがあります。そのグループを指導する前に行う診断または調査(アセスメント)、そしてプログラムを立て(プランニング)、実施する(インプレメンテーション)、最後に評価(エバリュエーション)して次回につなげていく。こうした流れが重要です。
また、メニューの分類と言うことがあります。あなたが局面するグループにとってどのメニューが最適か分類することです。例えば、日常生活域に役立つメニュー、人間関係域に役立つメニュー、関節可動域に役立つメニュー、筋力増強域に役立つメニュー、巧緻移動域に役立つメニュー、その他のメニューなどに分類しておくことは大切な作業です。そして、その分類を集団過程とマトリックスさせた一覧表を作ることを私は勧めています。これにより、「いつでも・どこでも・だれとでも」すぐにレクリエーション指導ができるようになるのです。
以上、知的障害者のためのレクリエーション指導について述べてきました。いかがでしたでしょうか?それでは皆様のご活躍をお祈りしています。がんばってくださいね!(筆者礼)
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